戻る

真白き富士の嶺

1 真白き富士の嶺緑の江ノ島 仰ぎ見るも今は涙
  帰らぬ十二の雄々しきみ霊に 捧げまつる胸と心

2 ボートは沈みぬ千尋の海原 風も波も小さき腕に
  力も尽き果て呼ぶ名は父母 恨みは深し七里ヶ浜辺

3 み雪は咽びぬ風さえ騒ぎて 月も星も影をひそめ
  み霊よ何処に迷いておわすか 帰れ早く母の胸に

4 御空にかがやく朝日のみ光 暗にしずむ親の心
  黄金も宝も何しに集めん 神よ早く我も召せよ

5 雲間に登りし昨日の月影 今は見えぬ人の姿
  悲しさ余りて寝られぬ枕に 響く波の音も高し

6 帰らぬ波路に友呼ぶ千鳥の 我も恋し失せし人よ
  つきせぬ恨みに泣くねは共ども 今日もあすもかくて永久に

戻る